大学1年で学ぶ微分積分を用いた(初等)力学の教科書を紹介します。

力学(ニュートン力学)は理系の教養であり、教科書も多数出版されています。力学は高校の物理の授業で基本的な部分は扱われており、高校と大学の力学の違いは微分積分を使うかどうかくらいしかありません。そのため、理解しにくいところは剛体の力学程度しかなく、他の物理の分野と比較すると分かりやすく書かれている教科書も多いです。また高校生でも数学の微分積分を勉強していれば、大学の初等的な力学は手軽に自習できます。

大学の力学で身につけるべき内容は大きく分けると次の3つです。

  1. 強制振動などの1次元の運動を微分方程式を解くことによって、求めることができるようになること。
  2. 工学的な応用で基礎となる剛体(物体の理想化したモデル)の概念を理解し、その回転運動を解析できるようになること。
  3. 複雑な問題(3体問題など)は一般的には解析解を得ることができず、近似的に計算をするか数値的に計算するしかないことを体験すること。

これらを身につけるためには、実際に手を動かして計算することが重要になります。また力学を勉強するなかで得られる計算の能力は、より発展的な物理を勉強するうえで必須なものとなります。

力学には工学的な応用が多数(機械力学など)あります。物理の理論としては、力学を発展させた解析力学というものがあります。解析力学をやると、保存則の導出が統一的にできるようになったり、複雑な問題を楽に解けるようになる場合があります。

以下では標準的な力学の教科書を上げておきます。


入門レベル

高校の微分積分を使わない力学が理解できていれば、特に入門書を読む必要はありません。しいて上げるとすれば、次の動画です。

力学(予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」)

Youtubeで主に大学数学の解説をしているヨビノリさんによる力学の動画です。剛体の力学について解説しています。剛体の力学を勉強する前に見ておくと良いでしょう。


中級レベル

力学 (物理入門コース1、戸田盛和)

物理入門コースという簡単に書かれた教科書のシリーズの中の1冊です。基本的な内容がまとめられていますが、分かりやすい本ではなく、特に面白いことも書いていない平凡な教科書です。大学の力学を勉強するには申し分ない本になっています。ただ演習問題は少ないので、他に演習書などを買って計算力を磨くと良いでしょう。同じシリーズに演習書が出ています。

物理学序論としての 力学 (基礎物理学1、藤原邦男)

東大の教養の力学の教科書として指定されるている名著です。先に上げた[戸田]と比較すると発展的な内容も書かれています。この本の特徴は力学の歴史や著者自らが行った実験のデータなどが載っていることです。力学をより深く勉強するのにてとても良い本だと思います。また大学の物理を初めて勉強する人が1番最初に読むのに最適な本だと思います。

力学―高校生・大学生のために(江沢洋)

高校生でも読み進められるように、かなり丁寧に書かれているためページ数が多くなっています。例題や図も豊富であり、かなりおすすめです。

よくわかる初等力学(前野昌弘)

いろもの物理学者として有名な琉球大の前野さんの教科書です。よくわかるというタイトル通り、非常に丁寧な説明がなされいます。その分だけ、厚い本になっています。サポートページ(http://irobutsu.a.la9.jp/mybook/ykwkrMC/)があり、掲示板で質問をしたりできます。手厚いサポートが欲しいという人にオススメです。他にもよくわかるシリーズで、電磁気学、解析力学、量子力学の教科書が出版されています。

力学(原島鮮)

標準的な力学の教科書であり、古くから大学の授業で使われきた本です。難易度は上で紹介していた本よりは高いので、2冊目として読むのがよいと思います。


上級レベル

力学 (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)

有名なランダウ=リフシッツ理論物理学教程の第1巻であり、初等的な力学だけでなく、解析力学についても扱っています。ランダウの他の本は難易度が高く読むのが大変ですが、この力学は比較的読みやすいです。ただ物理を勉強するのであれば一度は読んでおきたい本の一つです。

物理学の数理: ニュートン力学から量子力学まで (新井朝雄)

数理物理学の観点から物理の理論を解説した本です。数学志向の人で、普通の物理の教科書の記述では満足できない人は読んでみると面白いと思います。