解析力学の教科書を紹介します。

解析力学は、単に力学を解析しやすい形にしただけではなく、物理の基盤理論であるニュートン力学、場の理論(電磁気学、相対性理論)に共通する枠組みになっています。

解析力学の教科書で一番好きなのは山本義隆の解析力学です。読み切るのは大変ですが最もおすすめできる本です。


contents

入門書

解析力学 (物理入門コース 2,小出 昭一郎 )

岩波の物理入門コースの一冊で、学部1年のときに初めて読んだ解析力学の教科書です。扱っている内容は少なく、これで解析力学を理解した気にはなれませんでした。深く学ぶつもりではない人が読むには軽くて良いと思います。

解析力学・量子論(須藤 靖)

前半部分がコンパクトなかいせ力学の説明になっています。ランダウと同様に対称性からラグランジアンの形を決める話が書いてあります。きちんと読んでいません。

量子力学を学ぶための解析力学入門 (高橋 康)

未読ですが、読んでいる人は多かったです。


中級レベル

解析力学の分かりやすい本は意外とない気がします。

ランダウ=リフシッツ理論物理学教程の力学

ランダウ=リフシッツの理論物理学教程は世界各国で翻訳され出版されている大学物理の教科書シリーズです。その中の第一巻目が力学であり、解析力学の基本的な内容が非常にコンパクトにまとめられています。一番最初に解析力学の基本原理である最小作用の原理から説明をするのは衝撃的です。ただ、初学者が読むには不向きであり、現代的で読みやすい解析力学の本があるので、わざわざランダウで勉強する必要はないです。

解析力学 (物理テキストシリーズ 2,大貫 義郎)

コンパクトに解析力学の重要な内容がまとめられた本です。ただ、それほど読みやすくないです。

古典力学〈上、下〉 (物理学叢書, Herbert Goldstein , John Safko , Charles Poole )

ランダウと並び古典力学の名著とされている教科書です。古典力学について網羅的に書かれています。分厚い本ですが、ランダウとは異なり非常に丁寧にかかれていて読みやすいです。


上級レベル

深谷 賢治 「解析力学と微分形式」 (岩波書店、現代数学への入門)

数学者による解析力学の本です。物理の本ではなく、数学の本といったほうがいいです。解析力学の幾何学的側面を強調し、微分形式を用いてハミルトン形式を説明しています。同じように幾何学的側面を強調した本に下で紹介する[義隆]がありますが、それよりもコンパクトにまとめられています。ただし物理の文献と用語が異なっていたり、誤植が多かったりするので注意が必要です。

解析力学1,2 (朝倉物理学大系, 山本 義隆, 中村 孔一)

解析力学について、微分幾何を用いて体系化し丁寧にまとめたとても良い本です。解析力学をきちんと理解するためには、必ず読む必要がある本だと思います。特に普通の本にはきちんと書かれていない拘束系の話(相対性理論で重要)や摂動論(ハミルトン・ヤコビ方程式の古典力学的な意義を理解するのに重要)などが書かれています。また物理系の人が微分幾何を勉強するのにも適した本になっています。

古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ(山本義隆)

解析力学の理論を学ぶための本ではなく、古典力学が形成されるまでの歴史を詳しく書いた本です。